No.69 — DEEP SEA SPECIES
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アブラソコムツとは?食べると下痢になる深海魚——油の正体と注意点


アブラソコムツとは?基本情報

アブラソコムツは、世界中の熱帯・温帯の深海に生息する大型の深海魚です。見た目は食欲をそそる白身魚ですが、体内にゲムピルオイル(wax ester:ワックスエステル)という人間には消化できない油脂を大量に含み、食べ過ぎると激しい下痢(油性下痢)を引き起こすことで知られています。

項目詳細
学名Ruvettus pretiosus
分類条鰭綱 スズキ目 サバ科に近い位置(ゲンゲ科・タチウオ亜目に分類)
英語名Oilfish(オイルフィッシュ)
体長最大約200cm
体重最大約65 kg
体色暗褐色〜黒色
生息水深100〜800m(主に200〜600m)
分布太平洋・大西洋・インド洋の熱帯・温帯域
食性魚類・イカ・甲殻類

アブラソコムツが「食べると下痢になる」理由

体内のワックスエステルとは

アブラソコムツの身は一見すると白く美しい白身魚ですが、筋肉組織にワックスエステル(蝋状の油脂)が大量に蓄積しています。

ワックスエステルは人間の消化酵素では分解・吸収できないため、大量に食べると腸内に蓄積し、油性の下痢(Keriorrhea:ケリオレア)を引き起こします。症状は「オレンジ色の油性液体が肛門から漏出する」というもので、個人差はありますが30g以上食べると症状が出ることが多いと言われています。

日本での扱い

日本では食品衛生法により、アブラソコムツの販売・流通について注意喚起が求められています。市場・飲食店でアブラソコムツを提供する場合、種名の表示義務と消費者への注意喚起が必要です。


バラムツとの違い

アブラソコムツとよく混同されるのがバラムツ(Lepidocybium flavobrunneumです。

比較項目アブラソコムツバラムツ
学名Ruvettus pretiosusLepidocybium flavobrunneum
英語名OilfishEscolar / Snake mackerel
体のワックスエステル含量比較的少ない(30g以上で症状が出始める)非常に多い
日本の規制表示・注意喚起が必要食品衛生法で販売禁止(1970年〜)
外見やや褐色・皮膚に突起より黒く滑らか

バラムツは日本では食品衛生法で販売が禁止されていますが、アブラソコムツは表示義務付きで販売可能です(→ バラムツの詳細は別記事参照)。


世界での評価

パプアニューギニア・ソロモン諸島などの太平洋島嶼国では、アブラソコムツは伝統的な食料として食べられてきました。現地の人々は食べる量を少量に抑える知恵を持っており、大量摂取による問題を回避しています。

欧米の一部レストランでは「白身魚」として提供されたこともありますが、下痢のトラブルが報告されたため、イタリア・日本・デンマーク・スウェーデンなどで規制が設けられています。


まとめ——「食べると下痢になる」深海魚の正体

アブラソコムツは、食品安全の観点から特に注意が必要な深海魚です。

「美味しそうな白身魚」に見えても、食べる際は種名を確認することが重要です。アブラソコムツは深海魚の中でも「食の注意情報」として覚えておく価値がある魚です。

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