No.70 — DEEP SEA SPECIES
読了時間 約3分~3 min read
📖 This article is currently available in Japanese only. English translation is in preparation. Use the 🌐 EN/JA button in the header to switch back to Japanese.

バラムツとは?日本で販売禁止の深海魚——食べると何が起きるのか?


バラムツとは?基本情報

バラムツは、世界中の熱帯・温帯の深海に生息する大型の深海魚です。1970年(昭和45年)から日本では食品衛生法により販売・流通が禁止されています。これは体内に含まれる大量のワックスエステルが人体に深刻な消化障害を引き起こすためです。

英語名の「Escolar(エスコラー)」は、スペイン語で「生徒・学生」を意味します(体のパターンが黒板模様に見えることからという説があります)。

項目詳細
学名Lepidocybium flavobrunneum
分類条鰭綱 スズキ目 サバ亜目 ゲムピル科(Gempylidae)
英語名Escolar / Snake mackerel(スネークマッカレル)
体長最大約200cm
体重最大約45 kg
体色黒〜暗褐色(若魚は模様がある)
生息水深200〜1,200m(主に200〜600m)
分布太平洋・大西洋・インド洋の熱帯・温帯域
食性魚類・イカ・甲殻類

日本で販売禁止の理由——ワックスエステルの脅威

ワックスエステルとは

バラムツの筋肉組織には、ゲムピルワックス(wax ester)が全脂質の約90%を占める大量のワックスエステルが含まれています。

ワックスエステルは植物性ロウ(ハチミツや果物の表面に付くロウ)に似た構造で、人間の消化酵素(リパーゼ)では分解・吸収できません

食べると何が起きるのか

バラムツを食べると、消化されないワックスエステルが直腸・大腸に蓄積します。症状は:

個人差があり、大量に食べても症状が出ない人もいますが、他の多くの人には確実に症状が出ます。


日本の食品衛生法による禁止

1970年から販売禁止

バラムツは1970年(昭和45年)、食品衛生法第6条(有害食品の販売禁止)に基づき販売・流通が禁止されました。これは当時日本でバラムツによる食中毒様症状が多発したためです。

現在も日本国内での販売・流通・輸入食品としての流通は禁止されています。

「白いマグロ」として偽装販売された事例

欧米(特にアメリカ)では、バラムツが「White tuna(白いマグロ)」や「Super white tuna(スーパーホワイトマグロ)」として寿司店・回転寿司で提供されていた事例が多数報告されました。見た目が白く油っぽい身がマグロの大トロに似ているためです。

FDA(米国食品医薬品局)はバラムツの消費者向け注意喚起を出し、多くの州で販売が制限されています。イタリア・デンマーク・スウェーデンでも禁止または厳しく制限されています。


アブラソコムツとの違い

バラムツとアブラソコムツ(Ruvettus pretiosus)は混同されやすいですが、別種です。


まとめ——「見た目に騙されてはいけない」深海魚

バラムツは、美しい白身魚の外見と深刻な消化障害のリスクを兼ね備えた危険な深海魚です。

「美味しそう」という外見だけで食べてはいけない——バラムツはその最たる例です。旅行先の海外レストランで「White tuna」を注文する際は、必ず種名を確認しましょう。

SHARE 𝕏 ポスト LINE