深海には、陸上や浅海では想像もつかないほど巨大な生き物が存在します。「ディープ・シー・ジャイアンティズム(深海巨大症)」という現象——深海では体が大きくなりやすい傾向——が知られており、深海には陸上の近縁種を大きく超えるサイズの生き物が多く確認されています。
以下、記録として確認されている世界最大クラスの深海生物をランキング形式で紹介します。
学名:Architeuthis dux
記録:推定最大全長13〜18m(触腕含む)
現存する最大の無脊椎動物。正確な最大サイズは不明ですが、海岸打ち上げ個体・マッコウクジラの胃内容物などから、全長13m超(触腕含む)の個体が確認されています。マッコウクジラとの壮絶な深海バトルの痕跡(吸盤痕)が発見されることでも有名。
生息深度は200〜1,000m。2004年、小笠原諸島沖でダイオウイカの生体撮影に世界で初めて成功(日本の研究チーム)。
学名:Mesonychoteuthis hamiltoni
記録:外套長最大2.5m(体重推定700kg超)
ダイオウイカ(Architeuthis)より体重が重く、現存する最重量の無脊椎動物の候補。触腕を含む全長は推定14m超とも言われます。南極海の水深1,000〜2,000mに生息。その存在は20世紀初頭まで知られておらず、完全な生体標本は非常に稀。
学名:Regalecus glesne
記録:最大11m(一部では18mとも)
世界最長の硬骨魚として公式認定。細長い体とシルバーの体色は、「海の大蛇(シー・サーペント)」という伝説の元ネタとも言われています。通常の確認記録では6〜8m台が多く、11mを超える個体は稀です。
学名:Macrocheira kaempferi
記録:脚幅(ワイズスパン)約3.7〜4m
世界最大の節足動物。日本の太平洋沿岸(駿河湾・土佐湾等)の深海に生息。脚幅は4mにも達し、甲羅幅は最大40cm・体重最大20kg超。世界各地の水族館に展示されており、その巨大な姿は直接見ることができます。
学名:Bathynomus giganteus
記録:最大全長76cm(体重約1.7kg)
ダンゴムシ・フナムシの仲間(等脚類)の中で世界最大。メキシコ湾・大西洋の深海底(170〜2,140m)に生息。深海魚の死骸を食べる腐食者で、数年間絶食しても生存した記録があります。日本では1990年代以降に水族館で展示されるようになり、人気深海生物の一つになっています。
学名:Lineus longissimus(一般的なヒモムシの一種)
記録:全長55m以上とも
深海に限らず浅海にも生息するヒモムシ(紐形動物)の一種が、世界最長の動物(記録上)とも言われています。ただし「全長」の測定が難しく、正確な記録には不確かな部分もあります。深海性のヒモムシは数メートル〜十数メートルに達するものもいます。
学名:Megachasma pelagios(メガマウス)など
記録:最大6m前後
メガマウス(オオクチザメ)は1976年に発見されたばかりの比較的新しい大型ザメ。水深200〜1,000m程度の深海に生息し、プランクトン・小型魚を口を大きく開けて濾過食します。体長は最大5〜6mに達します。
学名:Ommastrephes 属など
記録:一部の種で2〜4m
深海の大型イカで、ダイオウイカほどではないが4m前後になる種が確認されています。商業的に漁獲されるものもあり(ニュージーランドスルメイカ等)、深海の大型頭足類として重要な存在です。
学名:Enteroctopus dofleini
記録:全幅(腕含む)4.3m以上・体重最大71kg
厳密には深海ではなく浅海〜中層に生息しますが、200m以深でも確認されます。世界最大のタコ。北太平洋(日本・アラスカ・カナダ)に分布し、知能が高いことでも知られています。
学名:Regalecus russellii(タイヘイヨウリュウグウノツカイ)など
記録:全長7m前後
リュウグウノツカイの近縁種で、やや短いが全長7m前後になるものも確認されています。太平洋・インド洋などに分布し、浜辺に打ち上げられることがあります。
深海では陸上や浅海の近縁種より体が大きくなりやすい現象——「深海巨大症(Deep-Sea Gigantism)」が知られています。その原因は完全には解明されていませんが、以下が有力な仮説です。
深海には、人間の想像を超えるスケールの生き物が今も暗闇の中に生きています。ダイオウイカとマッコウクジラの格闘、4mの脚を持つタカアシガニ、76cmのダイオウグソクムシ——これらは深海探査が進むにつれて明らかになってきた、地球の生命の豊かさの証明です。
今後も新種・大型個体の記録更新が続くと予想されており、深海はまさに「未知の世界」です。
深海魚の種類一覧は深海魚 種類・一覧まとめ【図鑑サイト完全版】をご覧ください。マリアナ海溝の生き物についてはマリアナ海溝の生き物一覧もどうぞ。